2018年05月17日

中毒作家

桃井章さんという脚本家がいらっしゃる。

私よりも年上で、「太陽に吠えろ」とか手掛けていらした売れっ子脚本家だった。
女優の「桃井かおり」さんのお兄さんでもある方。

もう20年も昔のことだが、脚本家新聞に、廃業されるというコメントを掲載されていた。
脚本家新聞というのは、脚本家連盟会員に送られてくる新聞ですが。

その時のコメントが今でも凄いインパクトで残っている。
「仕事が一年なかったら私は廃業します。以前から宣言していましたが、本当にこの一年仕事の依頼がなかったので、約束通りに廃業します。恵比寿で居酒屋をやることにしました」

余りにものいさぎよさに私は当時感動すらしたものだった。

執筆活動を辞めて、飲食に転身。
他人ごとではないので、その後の彼をネットで調べてみた。

確かに15年間も飲食業に専念されていたらしいが、5年ほど前にまた作家活動に戻られた様子。
とはいっても、オファーがあったのではなく、ご自分で芝居一座を作られたようだ。

「やめられない」
この言葉は、私が中学生の頃、お手紙でやり取りを続けていた今は亡き「井上竜夫」さんのお言葉。
「一度入ってしまうと、やめられない世界ですよ」と。
当時は何だか怖い世界とも感じたものだが。

桑原征平さんのラジオにゲスト出演させてもらった時のこと。
「萩やん、もと芸人やったら人前に出たいやろう」
「そんなことないですよ」と否定したが、どこか心の奥底には「芸人の虫」がまだいるかもしれない。

でも桃井さんのように、晩年をまた昔の夢を追う気にはなれない。

業界人間というのは、まさしく中毒患者でもあるのだなぁと感じた。
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2018年05月12日

元祖あるあるネタ芸人の続き

今から半世紀近くも昔のこと。ダジャレや顔で笑わせる時代に「あるあるネタ」を始めた芸人さん。
それは、月亭八方さんです。

当時はご自分で「描写ネタ」と名付けられ、こんなネタを花月の舞台でやっておられました。
「最近、私もスポーツを始めましてね、競馬。競馬はスポーツですよ。スポーツ新聞に載っているのやから・・・」
と、地方競馬である姫路競馬に行ったネタを。

「各馬いっせいにスタートしました・・・て、バラバラやがな」とばかりに、地方競馬あるあるのネタをされていたのですが、正直爆笑にはならなかった。
それもその筈。地方競馬あるあるネタに共感する人の絶対数が余りにも少なかったから。
でも共感できたオッサン客は大笑いしていた記憶があります。

八方さんには昔大変お世話になりました。
知り合ったきっかけは、MBSラジオ「ヤングタウン」(公開放送時代)
私達は高校生漫才としてゲスト出演し、八方さんは勿論プロのゲスト。
私達が漫才を終えると「君らはプロか?アマか?」と聞いて来られた。

それがきっかけで、私は高校時代、授業をサボっては花月に行き、八方さんの楽屋でごろ寝をさせてもらったりしていました。

今思うと本当に「なんちゅう高校生や」です。全く。

posted by hagiwarayoshiki at 23:10| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月11日

元祖あるあるネタ芸人とは

「あるあるネタ」が今や笑いの主流になりつつある時代になった。
お笑いネタは、時代と共に急速に変化を遂げて行く。
私がお笑いの世界に目覚めた頃といえば、芸人さんはアホな顔で笑わせてみたり、ダジャレの連発であったり。
これって江戸時代からの継承であり、古典的なパターンというか、時代は変われど「お笑いの原点は常に変わらない」ということだった。

ところが、ここ何十年かの間に「笑いの質は変わった」
「共感の笑い」というのが主流となった。
今の「あるあるネタ」だが、いったい誰がこの笑いの質を持ち込んだのか検証してみた。

私自身、まだ19歳でピン芸人の頃、テレビで流れるマイナーCMをそっくりやって爆笑になったことがあった。
「何だよ、このアホらしいCMは」と、誰もが感じていたらしくウケた。
これこそ「共感の笑い」なのだが、当時はそんな分析すらできなかった。

ピン芸人から漫才コンビを結成した時、私は古典的な笑いの方程式を選んだ。
何も出来ない相方を小バカにする。
でも、偉そうに教える方がもっとアホであるという古典的なパターンである。

そんなある日のこと、楽屋で先輩芸人からこんなことを言われた。
「君らの漫才、今流行りの題材をネタにしているけど基本的には昔からあるパターンやないか」と。
図星だった。恥ずかしい思いすらしたのを覚えている。
「今からの笑いは描写ネタやで!」
その先輩芸人の言葉。

描写ネタ・・・つまり、今の「あるあるネタ」の始まりであった。

その先輩芸人さんは舞台で確かに「あるあるネタ」らしきものをやっておられた。

さて、それはいったい誰であり、どんなネタであったのか・・・。
ここで「CMです」という訳にもいかないので、続きはまた。








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