2017年09月07日

小さな島のマラソン大会、その4

百島には病院や診療所はない。
お年寄りが多いのに、急患が出たらどうするのか。
そんな時には、救急車ならぬ「救急船」で患者を尾道まで運ぶらしい。
救急船といっても特別な船ではなく、民間個人の小さな船。
田舎で消防団が組織されているように、交代でその役目を務めているようだ。

陽気な区長さんが、切ない表情でこんなことをおっしゃっていた。
「葬式は辛いですわ。小さな島だから皆知り合い。山の上の火葬場まで運んで、燃やすのは私の役目なのです」と。
小さな島では現実離れした驚くようなことが山ほどある。

マラソンコースの下見に出かけた。
島の道は狭いが、ほぼ島を一周できることがわかった。
一周10キロ。ならば4周すればほぼマラソンコースになる。
アップダウンも当然あるが、強引にこの百島でマラソン大会をすることに決めた。

ただ一つ問題があった。
道がフン臭いのである。
よくよく見れば、タヌキのフンである。
この匂いがたまらない。
この島はタヌキが多く生息していて、農作物も被害を受けているらしい。

我々スタッフと区長とで対策を練る。
犬がそうであるように、タヌキも毎回同じ場所でフンをする。
ならば、フンの始末を早くして、その匂いさえ消してしまえば良いのではないかという当然のような結論に達した。

夜行カメラで、タヌキがフンをして平然と去って行く現場を撮影することができた。
バカバカしいが、貴重な映像である。
タヌキは夜にしかフンをしに来ないので。

とりあえずタヌキのフン問題は区長さんに任せて、ひとまず我々は島を後にした。
後日談だが、その後百島ではタヌキのフン対策に必死であったらしい。
「わざわざ百島までマラソン大会に来ていただいた人に、タヌキのフン公害で迷惑をかける訳にはいかない」と。

さて、百島マラソンのお膳立てはできた。
しかし、問題は参加ランナーである。
マラソン人口は今や凄いが、そんな一般ランナー達がわざわざ交通費まで払って参加してくれるだろうか。
島の人達には、「都会に行ったお子様達にも参加してくださるように呼び掛けてください」と、お願いはしておいた。
「それより私が走るよ」
そう名乗り出てくださったお年寄りの方も。
中には「無理せんといて」と思われるかなりの老人の方まで。
皆さん、この島で何かが起ころうとしていることに情熱を感じておられるのだ。

大会の日は迫ってきた。



posted by hagiwarayoshiki at 02:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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