2015年10月29日

岡本喜八監督

昨日のNHK「クローズアップ現代」で、岡本喜八監督の特集をしていた。
岡本喜八監督は、戦争反対を独自の描き方で多くの名作を撮られた方であり、私も大ファンの一人だ。

作家業を始める前に「肉弾」を観て衝撃を受けた。
特にラストシーンは圧巻。
他に「ジャズ大名」「近頃何故かチャールストン」も魅了された映画だった。

一度だけお目にかかったことがある。
といっても、一ファンとして。
場所は池袋文芸地下劇場という小さな映画館で、映画好きの人には当時堪らない劇場。
そこで「岡本喜八監督作品集」が上映され、最後に監督の講演会があった。
私は一番前の席に陣取り、監督にいくつもの質問をした想い出がある。

「精力的に作品を作られておられますが、正直スポンサーも厳しいのでは?」
誠に失礼な私の質問に対して、
「そうです。だから今回の作品は家を抵当に入れて借金して作りましたよ」と。

「監督の脚本は、次に何が飛び出すやらハラハラして面白いですが、全て計算ですか?」
またもの私のバカ質問に、
「脚本を書くのは実に楽しい作業です。夜寝る時、この続きはどうなるのかなぁと眠りにつきます。それが堪らないのですよ」と。

この後、私は作家業を始めることになり、岡本喜八監督の言葉が常に脳裏にあった。
「予定調和の脚本なんて面白くない!」
「作品を作ることはお金ではなく、もっと大切なメッセージパワーなのだ!」

そう肝に銘じて作家業を貫こうとしたが、正直挫折の連続だった。
抵抗したくとも、結局は長いものには巻かれる始末。
岡本喜八監督のようにはいかなかった。

作家業をされている方々は常に同じジレンマに悩まされていると思う。
少し売れて騒がれた時が一番危険かもしれない。
貧乏作家があぶく銭を手にした時、金銭欲に走り、権力によって「嘘つき作家」に身を転じてしまうパターンも多いようだ。

「萩原さんの代表作は?」
そう聞かれることがある。
私なんかに代表作なんかありゃしない。
「そうですね。私の代表作は・・・つまり次作ですよ」
こう答えることにしよう。
これはチャップリンの名言なのですがね。

ウ〜ン・・・ここまでパクれば、やはり私はB級作家なのだろう。
posted by hagiwarayoshiki at 23:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする